ドイツ映画『ヒトラー暗殺、13分の誤算(原題:Elser)』を日比谷にて鑑賞。
小さな共同体が、ジワジワとナチスに侵食されていくシークエンスでは、ライザ・ミネリ主演の『キャバレー』(72年)を思い出しました。
この作品、劇場で販売しているパンフレット(プログラム)に載っているいくつかの文章(コラム)が、なかなか興味深い。
例えば。
「~そして思う。ある部分が当時のドイツの空気と似ていなくもない今日の日本に暮らす私たちは、この物語を遠い他国の昔の話だと言ってはいられない」
そう、その通り。
国会の採決を力づくで阻止しようとしたり、自分の意にそぐわない人物(派)にレッテルを張ってバッシングに狂奔したり、自分達だけが“国民の代表”の絶対正義だと狂弁する、市民団体や議員はまさにナチス的であって、そのことを言いたかったんですよね!
字幕について。
「次のテロに紛れてエルザーを処刑、云々」とあるけれど、この「テロ」とは「無差別都市爆撃」のこと。
軍事施設でもない、民間人居住区を住民ごと焼き払う英米(とくにイギリス)の戦略爆撃をナチス・ドイツは「テロ爆撃」と呼んでいたのだ。
またイギリスや中立国の新聞が「テロ爆撃」と報じることも多かった。
『軍研』読者諸兄なら理解できようが、一般観客のためには「次の(都市)爆撃」とするべきだったと思う。
それにしても。精緻なメカニズムと計画をもってヒトラー暗殺を図ったゲオルグ・エルザーって、やっぱりドイツ人的だ。
映画 『ヒトラー暗殺、13分の誤算』公式サイト