シリア政府軍がサリンを使用したとして、米軍が即座にトマホーク攻撃を加えた件については14日にも書いたが、最終的な決断は双子の子供が死んだTV報道を見て大いに心を痛めたイヴァンカがトランプ大統領に強く進言したからだというから驚きである。
あまりにも情緒的な話なのでにわかには信じられないが、それはともかくとして情緒で軍事行動が決せられることは滅多にないものの、情緒で世論や議会が左右されることは結構多い。
湾岸戦争の直前、ナイラというクウェート人少女が米国議会でイラク兵の残虐行為を証言し、米国世論を開戦へと動かしたことは、油まみれになった海鳥の報道写真とともに有名だ。病院で働いていると雪崩込んできたイラク兵が保育器から新生児を放り出して殺したと涙ながらに訴えたのだが、戦後しばらくしてから真っ赤な嘘だったことが明らかになっている。ナイラの正体は在米クウェート大使の娘で、当時クウェートにいなかったのは勿論住んだことすらなく、すべての台本は米国の広告会社が作ったそうである。因みに海鳥もイラク軍の所為ではなかったことが分かっている。
同様のプロパガンダは古今東西の戦争で横行する。日中戦争中の上海爆撃では、瓦礫と化した駅の中で一人泣き叫ぶ赤ん坊の写真が米誌「ライフ」に掲載され、反日世論を大いに盛り上げたが、今では中国系米国人・王某による捏造写真であることが解明されている。ことほど左様に子供や動物が理不尽な状況に追いやられているのを目にするとき、その下手人とされる者に対する憎悪と敵愾心はマックスとなる。世論や議会を「聖戦」に誘導する為の常套手段と言えよう。
現在、朝鮮半島の緊張が高まり、TVでは今にも戦争が始まるかのような報道がなされているが、VXを顔に塗られて殺されたのが太ったオッサンでは米国民の怒りを喚起することはできないだろう。北朝鮮が可愛い赤ん坊や動物を殺したというニュースを聞いていない現時点では、米軍の攻撃はまだないとみて良いだろう。
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