北朝鮮のプロパガンダと言えば、安っぽい絵や静止画像に絶叫調のアナウンスと相場が決まっていたものだ。しかし、最近になって違和感を受けるというウォッチャーの声を耳にする様になって来た。確かに、良く言えば垢抜け、あるいはイマ風になってきた感を受ける。
今月10日発行の「軍事研究11月号」黒井文太郎氏の記事に掲載されている、「ガッツポーズをとる金正恩」の写真がその好例なので是非ご覧になって頂きたいが、満面の笑みの金正恩、妻と手を繋いで歩く金正恩、部下と並んでミサイルを見つめる金正恩の写真等は、祖父・金日成はもちろん父・金正日の時代には全く考えられなかったものである。
金正恩が先進国のリーダーと同様、人間味があることをアピールする狙いなのかも知れないが、北朝鮮を長年ウォッチングしている人々にとっては、唯一残った社会主義調プロパガンダの終焉が名残惜しくもあるそうな。
しかしウォッチャーの未練はともかく、北朝鮮国内の人民に親しみを植え付けるつもりが逆効果となって、カリスマが急速に低下している様だから深刻だ。論より証拠、金正恩の代になっての大粛清の嵐は権威急落の裏返しでもある。現人神であった先代、先々代ではそもそも反抗心が起こる種すらなかったが、独裁者が自分と同じ人間だと分かればクーデターの一つも起こるというものだ。思いの外、北朝鮮の終焉は近いかも知れない。
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