|
写真:陸上自衛隊 |
AFP=時事が9月10日に伝えるところによると、
「ロシアは9日、シリア東部の民間人居住地域の軍事目標に対する爆撃に、米国が白リン弾を使用したと非難した。白リン弾の使用は、国際法で禁じられている」――とのこと。
あぁデジャヴ…。これは2008年12月に始まったイスラエルのガザ侵攻作戦における、「白燐弾騒動」の二番煎じですね。
あの時は「骨まで焼く悪魔の兵器」「ジュネーブ条約では市街戦では使用禁止になっている化学兵器」というトンデモ言説が国内外のメディアで無責任に報じられた。
今回、ロシア軍司令官は「すさまじい火災が発生した」と明かしてるそうだが、そんな劇的な焼夷効果は白燐弾にはない。
そもそも、白燐弾の使用はジュネーブ条約で禁止されてなどいない。
白燐弾にそんな凄まじい威力があるのなら、今年も8月に公開展示された富士総合火力演習のフィナーレでの発煙弾(白燐弾)一斉投射で、見学者はのたうち回って死ぬだろう(笑)。
その事実を抜きにこの問題を評論し語ることは、すでにロシアの偽情報作戦の術中に嵌まっていることを意味する。
(しかしシリアで無差別爆撃を行ない、アサド政権軍の化学兵器使用に加担しているロシアが、よく言うよなぁ…)
かつての白燐弾騒動については、軍事研究2009年4月号:「白燐弾」の恐怖と真実、2009年5月号:DIME「高密度不活性金属爆薬」の真実(野木恵一氏)、
また、ロシアの国家ぐるみの偽情報による世論誘導戦略に関しては、軍事研究2018年6月号:世界に露呈するロシアの”汚い戦争”(黒井文太郎氏)に詳しく解説されています。
ぜひご一読ください。